俺様同期の溺愛が誰にも止められない
「はあー」

マンションに着き無言のまま部屋まで帰り、リビングのソファーに体を投げ出した影井の口からこぼれた大きなため息。

「ごめんなさい」

顔を見なくても、今影井が怒っているってことは明らかで、その原因はきっと私にある。
おそらくは、秘密にしているはずの同居が高杉先生に知られていたことに怒ったのだろうと思い、まずは謝るべきだろうと口を開いた。

「それは、何に対してのごめんなさいだ?」
「え、だから、高杉先生に同居がバレてしまって・・・」

さすがにこんなことが人事評価に影響するとは思わないけれど、上の先生の中には保守的な考え方の人もいる。そう考えれば、やはり黙っていたほうがよかったんだろう。

「俺、秘密にしようって言ったか?」
「いや、でも・・・」
わざわざ言って歩くことでもない。

「俺は最初からオープンにしてもいいと思っていたんだぞ」
「そんなことされたら、私が困るわ」

病院の女子の大半と敵に回すことになりかねないもの。
< 82 / 198 >

この作品をシェア

pagetop