更生係の憂鬱生活 【番外編】
「もー!天邪鬼なんだから!
大切なものならもっと丁寧に扱いなよ」
軽く説教した後にパッとアルバムを開いた澪は、「わぁ!」と声を上げて楽しげな表情を浮かべ出した。
「凄い、中学の頃からあるんだ!
皆今より背が低いし顔も幼いね〜」
『………』
見られるのは何だか気恥ずかしくて、黙って顔をそらしながら澪の声だけ聞く。
パラパラと時間をかけてゆっくり捲られていくアルバム。
暫く、紙の擦れる音と澪のはしゃぐ声が静かな部屋に響いた。
「え、私のもある!
私も仲間認定でいいの?」
澪の写真も一応入れていた。
とはいえ、入れたのは数週間前からだから未だほんの少しだけだけど。
『…違うって言って欲しいわけ?』
我ながら捻くれた性格をしてると思う。
不機嫌になりかける僕に対して、澪はサラリと返した。
「いや、そうじゃなくて。
意外だっただけでめちゃくちゃ嬉しいよ」
本音かどうか確かめるべく、ちらりと澪を一瞥すると、穏やかで優しい笑みを浮かべていた。
その表情は、綺麗な1枚の写真みたいに目に映った。
一見すると、冴えない眼鏡をかけたおさげ女なのに。
その横顔は、今まで出会ってきたどの女よりも美しいと思った。
…なんて、何思ってんだか。
たぶん今のは幻想だろう、というか絶対にそう。