カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
カエル化姫と大嫌いな婚約者

婚約破棄


「白那の最初も最後も、全部俺がもらう。離すつもりはない」

 私の最高の推しメンであり、そして大嫌いな婚約者でもある瑠璃也が言い放った。

「勝手に決めないで。何度も言っているけど。私たちは婚約破棄したの!それに、私は瑠璃也(るりや)のその偉そうなところが大嫌い!」

 と言うものの、既に最初の男になっている事実がある。

 だからこそ、一度でも瑠璃也と婚約するなんてことをしたのだけれど。

 それに今も、ちょっとしたアクシデントから助けてもらった後ろめたさから、瑠璃也の家に来てしまっている。

 推しメンに言い寄られている場面を見られてしまい、あまつさえ、逃げるのに手を貸してくれた瑠璃也のことを、邪険にしにくかったのはたしかだ。すっかり呆れた顔で、

「白那が誤解させるようなことするのは、もはや病気の域だし。ある種のテロリストだろうな」
 と瑠璃也は言う。

「助けてくれたのは、ありがとう。でも、私たちはもう終わってる。ていうか始まってもない。もう帰るから」

「白那の行動を制御するわけじゃない。何かを強要することもしてない。白那は、婚約で護られてる部分は絶対にある。その上での不満点は?」

「婚約自体が強要じゃん。婚約者がいるから、瑠璃也からすれば有象無象レベルの面倒な相手は寄ってこない。でも、瑠璃也自身が認める本命とは仲良くできる。それは、自分も公然と浮気するから、私の自由を許すってことでしょ?そんなの分かってて婚約続行するわけないじゃん」

 私が言うと、瑠璃也はため息をもらす。
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