カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
 話が終わって、自分の部屋に引き上げるときには、少し物足りない。白那を伺うと、少し後ろ髪を引かれるようにして、去りがたい雰囲気を出している。

 白那の周りには黒い粉はない。だから払うとか白那のためとかじゃなく、俺は単純に自分の欲求で、
「ハグしていい?」と聞いてみる。

 白那が頷いたので、手を伸ばして白那を自分の腕の中におさめた。背中に白那の手が回って来るのを感じて、安心する。
「今日は大丈夫だった、瑠璃也が汚れなくて良かった」と白那は言う。
「汚れる?」
 思わず聞き返すと、白那は首を横に振った。

「何でもない、聞き間違いだよ」と言って。
「触られるのが嫌なわけじゃない?」
 聞いてみると、白那は頷いた。

「寧ろ」
 と言って、俺の顔を見たきりで、白那はそれ以上は言わなかったけれど。その意味が分かったから、俺はつい欲を出して、白那の額に軽くキスをする。

「好きだよ白那」
 と言えば、白那は恥ずかしそうにして頷いた。「私も」って言ってくれる日がくればいいのに、と思うけれど、それは欲張りなのかもしれない。
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