カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
 さっそく、事業の話をしてみることにする。

 朱那さんは新進気鋭の美容メーカーの製品や、ユニークな美容アイテムが試せるポップアップストアを開けるサロンを構想していた。これは俺の母のやっている美容部門の事業とくっつければ、ちょうど上手くハマる。

 さらに、サロンで使用している茶葉やオイルなどは、父の会社の取引業者からコストダウンして仕入れられそうなのだ。
 その他にも色々と話したいことはあったけれど、順次提案していくことにして、今は当面動きやすそうな話をピックアップした。

「白那のサロンに俺や家族を関わらせてもらえるなら、もっと協力できると思う」と話したら、
「とてもありがたい申し出だと思う。お願いしてもいいならぜひ」
 と白那は言ってくれる。

 さらに、
「あと、白那は自分を低く見積もっているけど、白那がオーナーとして顔出ししてコメントすれば、話題性は抜群だし集客性は上がると思う」
 と伝えたら、これには驚きの顔をされた。

 結局は、
「顔出しなんか、無理だよ。私一般人の庶民だもん」
 と白那が卑屈モードを発動されるのでその辺は深入りしないことにした。白那が自分のポテンシャルをあまり理解していない気がするのは、とても残念だ。
 逆に、提案を受けることになる。

「瑠璃也こそ、製品販売のときモデルとして顔出ししたら集客すごいと思うよ。私も複数買いするし。販促するよ。そのときはSNSで発信もするしSNSや友達経由で布教する。まかせて」

 白那は数十個のアカウントを持っていてそれぞれ使い分けているらしい。一覧を見せてもらったけれど、部門によっては、フォロワー数がとてつもないことになっていた。白那が推すと売れる、というジンクスがまことしやかに囁かれているようだ。

「そのときはお願いするよ」と言っておいたけれど、冗談抜きに、白那のポテンシャルは未知数な気がしている。
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