カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
 ママの経営しているサロンに呼んで、お詫びとしてマッサージをすることにしたのだ。

 そんなことを、同じクラスのアイドル系の推し活友達の野乃花に話したら、
「白那は自分から誤解されるようなことするよね」
 と言われた。

 出会って間もない人に、マッサージというのは、野乃花からすれば、距離感がおかしい選択肢らしい。

「落して彼氏にしたいならマッサージはベストだけど。白那は付き合う気ないのに、触れようとするから、あざといよ」
 と野乃花は言う。

 私の距離感の取り方は、たしかに誤解を受けることが多い。

 前の彼氏も、
「白那は自分からのスキンシップが多いくせに、結局……」と私を貶すことが多かった。

「ごもっとも」と私は言うほかない。

 大前提として、昔からママのマッサージを見てきたから、私は触れることへの欲求が強いのだと思う。
 触れて知りたい、と思うから、つい触ってしまうけれど、それはきっと、一般的には匂わせ行為にほかならない。

 でも、プロとして施術するのに匂わせも何もない、とも思う。

 事実当日は、瑠璃也に対してつつがなく施術が出来た。
 それにママを介してだけれど、「気持ちよかった」という感想を聞けたのだ。

 実際に瑠璃也がどう感じたかは分からないけれど、ひとまずのお詫びが果たせたことに、私は安堵する。
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