カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~

ママの居場所

 サロンの経営は、私と、ママの時からいてくれる二名のスタッフとで分業して行っている。他のスタッフは施術を任せていて経営にはノータッチだ。

 古民家サロンでの施術に関しても、二人に相談していて、静馬から依頼が入ったときには、出来る限り向かうようにしていた。

「朱那さんでもそうしたと思いますよ~」とのどかに言ってくる、南野さんと、
「白那ちゃんの癒しのパワーは、いろんな場所で発揮してほしいしね」と言ってくれる万木さんに感謝している。

 とはいえ、古民家サロンでの施術は、楽じゃない。マッサージ自体は同じなのに、疲れ方が尋常じゃないからだ。来る人の疲れ具合や体調不良の具合もサロンの比じゃないようだった。

 元々は静馬からの依頼なので、無理がない範囲で行えればいいものだ。けれど、来てくれた人の表情が変わる瞬間が好きで、どうしてもやめられない。
「その力があれば、ある意味世界制覇できそうですよね」
 と言って、私の力が万能だと思っている静馬には、少し辟易するけれど。

 施術後に疲れると、
「払いますか?」
 と聞かれる。

 例の一件からは、「浮気っぽくなるから、やっぱりやめましょう」と私は言うようにしていた。

 すると、「じゃ、俺を人間の男だと思わなければいいんじゃないですか?だとしたら、浮気って思わないでしょ。払いましょう?」とやや強引に言ってくるので、他意はないのだろうか?と気になる。

 毎回断るけれど、このまま一緒にいたらエスカレートしたら困るとは思う。静馬はそういう形で瑠璃也と張り合いたいのかもしれない、とは思った。

 瑠璃也にも払う力が多少あるらしいけれど、私に触れたあと、しばらくは瑠璃也に黒いもやがまとわりつくので、気になってしまう。
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