カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
 サイトを刷新したりアカウントを作成したりした数日後、日埜家から直接アプローチが来た。

 日埜家の現当主は、静馬の父さんで日埜藤馬という。何かの集まりで数回会ったことはあるが、静馬とよく似た柔和な印象の人だ。静馬の父さんはオフィスの方にやって来て、繋いでほしいとスタッフ経由で連絡をよこしたらしい。

 うちのスタッフは中学時代からの友人や、兄の知り合いが多い。みんなそれぞれ事業をしていたり、複数の仕事をしたりしながら在籍している。

 基本的にはアプリのシステム開発をしたり、サブスクリプション型のサービスを提供したりしているけれど、それぞれ思いつきで作ったものを販売しているスタイルだ。アイデアが出ればどんなものでも作っていく。

 最近まで白那からは見た目だけ推されていたので、幻滅されないようにと美容部門にリサーチをかけていたら、知らないうちにメンズ美容製品を作ることになっていた。俺の始める事業はほとんどが白那関係だ。

 会社のスタッフたちは、白那との関係値によって俺が事業に集中したり、一旦人任せになったりしている変化を、目撃してきて来ていた。協力を仰ぐこと多かったので、白那の事情も知ってくれている。

「中身のない婚約にやっと、中身詰まってきた感じだな」とスタッフの一人の優成には言う。これまで、サロンの見張り役として活躍してくれていたのだ。その日、日埜藤馬が来たと教えてくれたのも、優成だった。
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