カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
 何も気づいていないようなので、今度は「ご飯食べに行くよ」と伝えた。

 白那は朱那さんとご飯を食べに行くのが楽しみだったらしい。朱那さんが亡くなってから明らかに痩せていく白那を見て、夕食だけは取ってもらおうと思い、朱那さんと出かけていたらしい店に行くこともあった。

 当時俺に借りを作るのが嫌だった白那は、「キッチリ割り勘じゃないと無理、寧ろ瑠璃也は学生だしおごるけど」と強気に言って来たのを覚えている。

 絶対におごらせない、というのは白那のプライドのようだった。親の金での道楽なんでしょ?と思われているのは百も承知だ。

 うちの両親は金銭感覚や世間のイメージに関してはスパルタ教育で、中学の頃から学業周り以外の出費に関しては、自分での収入で賄え、世間の目とは逆行しろと言われていた。

 両親にとっては、「逆行こそ面白い」という発想なのだ。
 無人島に兄と二人で1年放置された経験もあるし(おかげで初等部は5年間しか通っていない)、海外に着の身着のままで置き去りにされたことも何回かある。

 マンションに暮らしてだしてからも、通告なく、「ライフラインストップチャレンジ」といってライフラインが止められることも何度かあった。

 その他諸々、強制的なチャレンジが行われていたのだ。

「あなたたち、困りなさい。困ったときこそ、面白いアイデアが出るものよ」と母は言う。

 父からは自分の会社に関して「世襲制は絶対取らない、お前たちが有能なら考える」と言われて育ってきている。
 兄の玻璃也は「会社なんかいらないから、ステディとのんびり仲良くくらすさ」と言って、中学時代にIT企業を立ち上げて、サッサと代表の座を譲り、今は一社員におさまっていた。飽きたら他のことをすると言って、今は投資に励んでいる。

 俺も別に会社は欲しくないので、父や母の会社事業の一部を連携させてもらって好き勝手に、自分の事業を始めていた。

 ようするに、親の金での道楽なんて出来るわけもないけれど、親が太くないという現実に幻滅されそうなので、今のところ白那には言っていない。

 ただ、白那が父の会社を継いでほしいと思うなら、上手いことして会社を乗っ取ろうと思っている。
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