カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
 白那の中で何が進行しているのか、分からない。さっきまで俺の感覚がとか、規格がどうとか言っていたのに。

 朱那さんの手紙が何かのフックになったのだろうか?

 白那はときどきこうして、急にギュッと距離を詰めてくるので、心の準備ができないときがある。

「学生じゃダメって、さっきまで言ってなかったっけ」
「学生結婚するイケメン起業家ってかっこいいかなって」
「白那やっぱおかしい。何が書いてあった?」

 つい詰め気味に聞いてしまうと、白那は恥ずかしそうな顔をする。なに?と聞くと、首を横に振るのだ。ここでは言いにくい話だから、と言うのだ。

「けど、私、瑠璃也しか無理かもしれないから。その。言いにくい遺伝があって」
「言いにくい遺伝?」
 俺しか無理という言い方も、歯切れが悪いので、逆に気になってしまう。

「瑠璃也が心変わりしちゃう前に、ゲットしちゃおうかなって」
 曖昧な言い方をする白那をつい問い詰めてしまいたくなる。ぐいぐいと聞いていくと、ようやく耳元で教えてくれた。
 思わず息を飲んでしまう。

 散歩やランニングをしている人たちや、散策を楽しんでいる人たちの目の前で、する話じゃないのはたしかだ。
 聞いてしまって、少し後悔する。
 唇を噛んで恥ずかしそうにしている白那を見ると、この先、健全なデートが続けられる自信がなくなるからだ。
< 235 / 275 >

この作品をシェア

pagetop