カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
「触るのはちょっと」
 と言うと、瑠璃也が眉をひそめた。

「決定したから。俺は今日からここに泊まるから」
 じりじりと壁に追い詰められて、逃げ場を失う。しよ、と言われて首と横に振る。

「恥ずかしいから無理」
「会わないうちに俺のこと嫌いになった?」
「好き。パパのお姉さんに会って、話を聞いたら、瑠璃也と家族になりたいと思ったよ。でも、こういうのは恥ずかしい」
「俺はずーっと白那不足だったんだけど」

 少し強引に抱きしめられて、身体が熱くなる。触れられるのが久しぶりすぎて、ドキドキがとまらない。至近距離に来ると、まともに顔を見れなくなる。

「顔も嫌いになった?」
 それだけは、断じてない、と首を横に振った。
「大好き。カッコイイ!毎日暇さえあれば見てる。写真はスクショしてるし、雑誌は奉納用で複数買って、電子書籍版を携帯してる。サイコー!」

「じゃあ、出来る。前も公園で好きな顔じゃないと濡れないって言ってたし」
「そ、そんなこと言ってないよ!」
「好きでも、顔がドンピシャのタイプじゃなければ出来ないって。そこだけは、蒼真に同情しつつマウント取ってる」

 好きでも顔が好みじゃなければ、深い関係になれない。
 言ってしまえばセックス出来ない。それってどんなルールなの?とは思う。でも実際にどんな方法を取ろうとしても、ママの言い方を借りるなら、「無理なものは無理」だったのだ。

 素朴な疑問として、
「誰が別の人が瑠璃也の顔に整形したら、どうなるんだろう?」
 と思う。

 そのまま言ったら、
「それは絶対他奴に教えたらダメだから、特に静馬とか蒼真はダメだから」
 と割と真面目なトーンで言われた。

 好きな人じゃなければ、触れられたときに寒気がしたり、ビリビリと痺れたりするから、結局は無理だと私は思う。
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