カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~

全部あげるから、全部ちょうだい

 ママとパパの話をしたあと、藍さんから受け取った映像をPCで再生してみたら、瑠璃也が再び頭を抱えることになり、私もやや微妙な気分になる。

「白那愛してるよ!」と映像のパパは言ってくれるけれど、何分、顔が蒼真に似ているので、私もどんな顔をして見ていいのか分からない。

「白那にはとっても申し訳ないけど、見るのはかなり苦しい。苦しすぎる!」
 と瑠璃也は言う。

「一人でこっそり見てって言いたいところだけど。それも、苦しい。どうしたらいい?」と身もだえしてしまうので、「しばらくは見るの保留にするよ」と言っておく。

 しかし、映像を再生したことにより、瑠璃也に変なスイッチが入ったらしい。映像を止めた後、
「愛してるよ、白那」
 と言って瑠璃也が距離を詰めてくる。

 けれど、しばらく会っていなかったせいか、ドキドキしてしまい、私は思わず後ずさって逃げたくなってしまう。
「なんで逃げるの」
「好みのイケメンに触れられるのってちょっと。雑誌で見たりWEBで見たり、推し活が多かったから、なんか触れられるのは違うかなって」
 私がそう言うと、瑠璃也はすぐにスマホの電源を入れて、あちこちに連絡しはじめる。

「何してるの?」
「ソロのメディア系の依頼は断ることにした。意味ないじゃん、白那に距離取られたら」
「えーなんでもったいない!めちゃくちゃカッコイイのに!せめてモデルはやめないで」

「じゃあ一緒に住んで。毎日触ってまた慣れてもらうから」
 ハグをしよう、と手を広げてくるのだけれど、私はその中に入っていく気持ちになれない。
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