カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~

お墨つき

 休日に送られたマップを参考に行ってみると、ヒーリングサロン「Jade(ジェイド)」に着いた。

 受付にいた白那は、俺の顔をみて一瞬躊躇したのちに、営業スタイルに切り替えたのか、
「いらっしゃいませ、どうぞこちらに」と言い、接客してくれる。

 白那がしてくれたのは、フーレセラピーという足踏みのマッサージだ。

 とにかく全身を白那に踏まれつくし、俺は不思議な感覚を味わう。彰文に言うような邪な気持ちが入る余裕はなく、身体中のコリをほぐしてもらい、ただただリラックスしてしまった。

 そして、白那のお母さん、水樹朱那さんに出会う。
「初めまして。紫陽瑠璃也くん。白那の母、水樹朱那(みずき しゅな)です。よろしくね」
 と施術後のハーブティを出してくれた朱那さんは、白那とよく似ている。
 柔らかな表情や、物腰はすべて白那に受け継がれていると感じた。

「どうも」
 と俺は素っ気なく答えるけれど、本当は話したくてたまらない。俺の挨拶に、朱那さんはクスクスと笑う。

「ねえ、瑠璃也くん無理してない?」

「え?」

「もっとくつろいでいいよ。部屋の中も色々見てたし、本当は興味津々でしょ?」
 と朱那さんは言うのだった。見事に言い当てられたことに驚く。
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