カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
 結局、長考したのちに、
「マッサージって何?」
 と素っ気ないメッセージを送る。

 この何倍にもメッセージを増やしたいのに、我慢して短文を送るのだった。

「私のママがサロン経営してて、私も手伝いしてるの。もしそれでよければ、マッサージ出来るよ。お詫びになるか分からないけど」

「いいよ」
 と答える。
 俺は白那との接点が出来て単に喜んでいた。けれど、彰文が言うには、
「会って間もない人にマッサージって、距離感バグってんなぁ」らしい。

「なんで?」

「マッサージしてくれるのが、水樹さんなら。身体触れるわけだし、もし相手が悪ければ、どんな展開になるのか、瑠璃也でも分かるだろ?」

「え。どんな展開って」

「いやいやいや。悪くないなって思ってる子に触られたら、グッと来るものがあると思うけど。エッチな感じになる可能性もある。俺だったら、上手いことして先に進むな」

「へー、テストステロン値高い発言」

「瑠璃也は天然モテしてるから。ちょっとしたチャンスからどんだけ相手に近づくかっていうのに、鈍感なんだろーなぁ」
 と白けた調子で言われる。

「いや、無理やりは犯罪だろ。チャンスをものにってガンガン迫られるの、めちゃくちゃ怖いから」
「迫られる側かよ」
 けれど、彰文にそんな風に言われたことで、白那に懸念が生まれる。

 大丈夫だろうか?と思う。

 白那が俺にやったように好きな顔の相手を見つけて、そんな風に距離を詰めたら、相手は勘違いするんじゃないか?と思うのだ。

 マッサージすると言えば、勘違いする人も少なくないかもしれない。

 現に俺も白那に絡めとられているのだし。とまあ、悶々と悩むのだった。
< 52 / 275 >

この作品をシェア

pagetop