カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
朱那さんとの会話の後、他の施術を終えた白那がやって来て、
「来てくれてありがとう。満足してくれたなら嬉しいけど」と言うのだった。
満足したよ、と素直に言っていいものか、と迷っている俺に、
「瑠璃也くん、気持ち良かったって。白那腕あがったんじゃない?」と朱那さんが助け船を出してくれる。
白那は俺の方を見て、
「本当?ちゃんとほぐせてたかな?」
と聞いてきたので、俺は頷いた。
良かった、と白那は眉を下げて、柔らかく笑う。
あ、すごく可愛い、近づきたい、と思ったけれど、我慢する。
ああ、どうして、あんな感じで出会ってしまったんだろう、と思う。このキャラクターを作る前に出会っていれば、思いのままに、気持ちをぶつけられたのに、と思った。
「また来てね、瑠璃也くん」
と朱那さんが声をかけてくれて、
「また、その、機会があれば」と白那は言ってくれる。
白那のお母さんに会ったことで、さらに俺は白那に対してグッと気持ちが傾いていくのを感じた。ただ、彰文が言うように、白那を落とすのが難しいのはたしかだ。
白那の中で、人と付き合うことに傷があるとするなら、強引に距離を詰めるのは得策じゃない。
ゆっくりと距離を縮めていけばいい、と思った。
けれど、ゆっくりと距離を縮めるのが、予想外に難しいことを知る。
俺と白那は、誤解にまみれる星の下に生まれているようだった。