カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
カエル化姫と好きだった人

傷だらけの恋心

 毎朝ベッドの上で目を覚まして、天井が自分の家のものでないことに気づいて落胆する。
 それから手を上にあげて毎朝薬指を確認して、あの日のことが夢でなかったことを確認するのだった。
 つまりそれは、ママがもういないということだ。

 瑠璃也から改めて指輪をもらってから数日経つ。
 瑠璃也は学校や仕事終わりに、毎日サロンまで迎えに来てくれる。そして、瑠璃也はしつこいくらいに、毎朝言ってくるのだ。

「逃げるなよ、ちゃんとここに帰ってこい」と。
 私は抵抗することも反抗することも面倒になっていた。

 だから、
「逃げないよ」
 と投げやりに答えるだけだ。

 瑠璃也に迎えに来てもらい、そのまま一緒にご飯を食べて帰る。
「夜は何食べたい?」
 と言われて本当は何も食べたくないけれど、適当にお菓子の名前を答えると、瑠璃也は分かったと言って、ご飯屋さんに連れて行ってくれるのだった。

「アイス」
 と答えれば、ラーメン屋に連れて行ってくれて、
「チョコレート」
 と答えればイタリアンに連れて行ってくれる。
 その関連性は不明だけれど、心配してくれているのだけは、分かった。
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