カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~

破れた殻

 蒼真は私と別れた後も、ママが不在の日を狙って、付き合っている彼女をサロンにわざわざ連れてきたり、私に彼氏なんかできるわけないと言ってきたり、毒のように言葉を浴びせて来ていた。

 今回みたいに、不意打ち出来て好き勝手していくことも、珍しくない。
 感じないなら、そしてセックスできないなら、私には価値がない。私は蒼真との経験によって、そう頭に刻まれたような気がする。

「したくなかった。今はもう私のこと好きでもないくせに、期待外れなのに、別れたのに。何で何回も来るの」

「白那の顔はマジでタイプだけど、当時はやれないとやっぱ無理だったし。けどさ、色々味見してくると、どうしてもやりたいとか、そんな重視しなくなるから。結局は好みの顔の方がいいなって」

「味見って何。好きで付き合ったんじゃないの」

 私がそう言ったら、
「好きじゃなくても、出来るじゃん。別に」
 少し不貞腐れたようにして蒼真は言った。

「最低」
 顔だけ好みだから会いに来た、権利のために自分と結婚すればいい、と言われても嬉しくなかった。自分が顔で推し活をしているのを棚に上げていると思うけれど。

「いいじゃん。俺まだ好きだよ、白那のこと」

 好きはおしまいの言葉だ。
 恋のおしまいで奉仕のはじまりの言葉。
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