カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~

本当の告白

 蒼真とのことがあってから瑠璃也はすっかりおかしい。当日、昼ご飯を食べて私をマンションに送ってくれたときにも、その後夜に改めて話をしたときにも、これまでの瑠璃也とはどうも違って見えるのだ。

 部屋でくつろいでいると、ドアがノックされて返事をすると、瑠璃也が入って来る。ちょっといい、と呼ばれたのでリビングへ行く。

 つい最近、ここで瑠璃也に別れを告げたような気がした。にもかかわらず、なぜ今ここに来ているのか、分からない。

 リビングに行くと瑠璃也はキッチンに立っていて、
「何か飲む?」
 と言ってくる。

「え、入れてくれるの?どんな風の吹き回し?」
 と私が聞くと、瑠璃也は眉を下げて、困ったような顔になった。
「ごめん。この前から、少し前まで白那にどんな風に接していたのか、思い出せなくなってて」
「なにそれ、どういうこと?」

「とりあえず、ハーブティでいい?朱那さんが入れてくれたのと同じメーカーの」
 と瑠璃也は言う。

 なんで、ママが好きなメーカーを知っているんだろう、と思った。瑠璃也とママは、初めて私がサロンに連れて行ったとき以外に、家族の顔合わせくらいでしか、会ったことがないと思う。

 戸惑いが多すぎて、私はハーブティを入れてくれる瑠璃也をただ眺めていた。スケルトンのカップをソーサーに乗せて、テーブルの上に出してくれる。カップやソーサーは、サロンで出していたのととても似ていた。

「ありがとう」
 と言うと、瑠璃也はどういたしまして、と言う。なんだ、これ、と思う。

 割と自然なやり取りのはずなのに、対瑠璃也だと違和感が満載なのは、なぜだろう。

 瑠璃也は不愛想で、偉そう。それでいて強引に距離と詰めてくる傲慢な人と言う印象だ。

 出会ったときから途切れ途切れながらも、関係が続いていて、いつの間にか婚約していた。 
 私は何度、瑠璃也と別れようとしたか分からない。なのに、なぜか、しっかりと別れられた試しがないのだ。
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