カエル化姫は愛されたい、偽俺様王子は愛したい~推し活女子と天然一途男子は最強夫婦~
偽俺様王子の片思い

保護者に任命された

 人生最大の失敗を犯してから、想像通り、白那には距離をおかれるようになった。既読無視は当たり前、未読無視も多い。

 あ、終わったなと思った。強引に取り付けた婚約も、ギリギリで繋ぎ止めていた関係も終わったのだ。
 お酒を飲んだ状態の女の子と、怒りに任せて強引にフィニッシュ決めた。これだけ聞けば犯罪臭プンプンだ。申し開きの余地はないし、とりつく島はない。

 あの日は片付けをしてから、酩酊した白那を自宅の方に連れていこうとしていたら、帰って来た白那さんと鉢合わせした。

 朱那さんは白那を担う俺を見て、
「白那、暴走してた?」
 と聞く。
 意図するところは分からなかったけれど、朱那さんは何か白那の様子に心当たりがあるようだった。

「何かあったみたいです」
 とだけ伝えておく。
 白々しいとは思う。俺自身が「何か」をやらかしてもいたのだから。とはいえ、この場で申し開くのは無理だと思った。そこまで図太くはない。

「ありがとう、瑠璃也くん。白那のところに来てくれて。いろいろ気になることもあるかもしれないけど、もう遅いし今日のところは帰った方がいいね」
 朱那さんに白那を引きわたし、その日は帰宅した。

 帰ってシャワーを浴びたら、白那の身体の感覚が思い出されたので、非常に参った。
 なんとかクールダウンした後で、自分のことをバカだな、と思う。自分のことを嫌いな子に入れあげている以上、どうやったって片思いだ。

 片思いの上に、今回ので決定的にヤリ目の疑いをかけられた。付き合うのはまた夢、白那から婚約破棄を迫られるのは必須だと思う。

 ただ一方で、どう思われようが、白那の中にある忌まわしい存在をどうにかして駆逐したいとは思う。白那の行動から、おぼろげながら想像は出来たけれど、実際的な証拠もとっかかりもない。

 踏み込めば、絶対に嫌がられるのは分かっていたけれど、白那にあんな行動をとらせる存在を、無視できなかった。
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