片思いの相手に偽装彼女を頼まれまして
 これでは私が進んで休日出勤したみたいな言い回し。しかも誠が関わっていると勘違いしている。

「ちょ、ちょっと! あなたは今日ーー」

「だって先輩、朝霧さんをずっと眺めてましたよね? 口には出してませんけど恋する乙女って感じでした。まさかバレてないとか思ってました? みんな知ってますけど」

 私の反論を封じる方法として、誠への気持ちを持ち出す。
 みんなとは部長も含まれるのだろう。つまり、知らぬは当人等だけか。

「違、違う!」

 私は席を立つ。つい大きな声を出してしまい、身を縮めてテーブルの上を睨む。

「え、違うの?」

 ここまで黙っていた誠が聞き返す。

「いや、違うというか、その、私は……」

 後輩の発言内容は訂正したい所ばかりなのに、もはや何処から伝えれば良いのやら。

 秘めていた恋心をこんな形で暴露されたうえ、周囲にはどうせ叶わないのだと鼻で笑われていたと知り、誠の顔が見られない。

「あれ? 先輩どうかしたんです? 具合悪いんでしたら、ここはアタシが引き継ぎますね。朝霧さん、ここのフレンチトースト美味しいんです! 食べましょうよ?」

 なんと後輩は私ばかりか連れの女性まで追い払おうとする。
< 38 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop