クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。



 だからと言って「そうだよね」で会話が終わることはなかった。


「それでも住吉さんは穂香を好いてくれてるじゃない。穂香はどうなの?」

「私は…………」

 聞かれて答えられなかった。いや、正確にはどうしたら良いか考えられなかったし、考えないようにしていた。

 …………私は、住吉さんにこれからもずっと側にいてほしい。



 私は再会できたことの嬉しさと今日のお礼を、以前頂いていた連絡先のメモ紙を見ながら連絡を入れる。それからというものの、住吉さんはマメに連絡をくれた。


 あれから一週間が経ち、

「こんにちはー」

 消費者金融が来る前に、住吉さんが私のお店にやってきた。忙しいのに時間を使わせてしまい申し訳なさを感じる。


 母と父は住吉さんの顔を見て安心していた。

「あの、お店宣伝してくださってありがとうございます。今日はお世話になるので、貸し切りにしていますがおかげでお客さんも売上も好調です」


 お礼を言うと、住吉さんは「よかったー」と微笑んだ。

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