クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。
だからと言って「そうだよね」で会話が終わることはなかった。
「それでも住吉さんは穂香を好いてくれてるじゃない。穂香はどうなの?」
「私は…………」
聞かれて答えられなかった。いや、正確にはどうしたら良いか考えられなかったし、考えないようにしていた。
…………私は、住吉さんにこれからもずっと側にいてほしい。
◆
私は再会できたことの嬉しさと今日のお礼を、以前頂いていた連絡先のメモ紙を見ながら連絡を入れる。それからというものの、住吉さんはマメに連絡をくれた。
あれから一週間が経ち、
「こんにちはー」
消費者金融が来る前に、住吉さんが私のお店にやってきた。忙しいのに時間を使わせてしまい申し訳なさを感じる。
母と父は住吉さんの顔を見て安心していた。
「あの、お店宣伝してくださってありがとうございます。今日はお世話になるので、貸し切りにしていますがおかげでお客さんも売上も好調です」
お礼を言うと、住吉さんは「よかったー」と微笑んだ。