クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。
◆第三章



 住吉さんの協力もあり、私はSNS上でお店のアカウントを開設した。住吉さんが宣伝してくれたおかげで、たくさんの人がフォローをしてくれた。おかげで従業員も三名増やし、休日は開店時から行列ができるほどだ。


 SNSだけでこんなにも世界が変わるとは思っていなかった。


「ここのお店は500万なんかで自己破産するべきじゃないよ。客が入ってなかったのは看板がこじんまりしていたせいかと思っていたけど、大きめの居酒屋ができていたからなんだね。そっちに流れちゃってたと思う。ここは土地柄的にも良いし、料理の味も美味しいし、お店の雰囲気もいいし。借金も返済を終えてそれでも手放す決断をするときがきたら、売るときは少しでも高く売らなきゃ。だって買い手は頭金合わせて数千万で買うのにバカみたいだろ?」


 ……数千万。
 そう言われればそうだ。ここの店も買った時、祖父は1500万ほどで購入したと言っていたのを思い出した。

「は、はい……あの、ちなみにここを売るときがきたら買い手はいくらくらいで買われるんですか?」

「うーん、俺の予想は、今羽賀家が悩んでいる500万が購入者の頭金になると思う。銀行とかから融資を受けて、最低でも2000万から3000万で開業できるって感じかな」


 淡々と答える住吉さんに、私も含め、父も母も目を丸くしながら聞いている。


「不動産経営をしている立場からしてみたら、正直手放してほしい気持ちはすごくあるけど、俺個人の意見では羽賀家を守るって意味でも手放してほしくない。だから、今日お渡しする500万は経営者の俺から見ての今後の期待と投資。いらなくなったら遠慮なく俺がもらうのであしからず」


 受け取った500万円を返していくのではなく、経営が無理だと思ったらこのお店を住吉さんの不動産に売却。

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