クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。
「分かりました。ありがとうございます」
お礼を言って頭を下げると、先週来た消費者金融の人たちが「羽賀さん、お邪魔しますよー」と声を荒げて入ってきた。その瞬間、住吉さんが「羽賀さん達には一歩たりとも近づけさせない」と言わんばかりに立ちはだかる。そんな住吉さんに消費者金融の人は眉間に皺を寄せた。
「ああ、あなたはこの間来られていたお兄さんですね。我々のお話を聞かれていたと思うので、事情はご存じですよね? 借金を返済日時までに返済していないため、進捗を確かめに来るのも我々の仕事なんでね。警察に通報しても無駄ですよ?」
消費者金融の人が住吉さんに早口で捲し立てると、住吉さんも負けじと口を開いた。
「お借りしていたお金は今この場で全て僕が返済いたします。すぐに完済証明書を発行いただけますか?」
そう言って、鞄から500万ほどのお金を取り出した。そして500万円をドンと机に置くと、消費者金融の人たちの額には汗が滲んでいた。
「これはこれは、どうも。ありがとうございます。一つ言い忘れていたことがございまして、借金は500万円ですが、遅延利息金がございましてね。利息は月々返してもらっていたんですが、遅延金の返済は手つかずなので、そちらも本日返していただけますか?」
住吉さんは消費者金融の人たちから借用書を受け取り日付を確認した。