クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。
まるで、映画に出てきそうな豪邸に息を呑む。ここで今日は一日ゆっくりできるんだ。
澄人さんと二人きり。二人きり……って、二人だけ!? それはヤバイのでは!? 澄人さんは『何もしない』と言っていたけど、密室で二人きりとなると逃れられない。けれど、逆に言えばこんなに完璧な人に抱いてもらえる可能性がある私は、贅沢物かもしれない。
「あの、澄人さん。今日はここで二人……ですか?」
顔を赤くしながら恐る恐る聞いてみる。すると、澄人さんは首を傾げて考え込んだ。
「いや、多分住吉に遣えているものが数名いるはず。今朝ここで料理作るようにお願いしてたから」
私をここに連れ出すことは計画的だったようだ。肩の力を抜き澄人さんの後ろをついて歩く。正面まで近づくと更に大きい。中に入ると黒服姿の使用人と思われる人達が「お帰りなさいませ、澄人様」ずらりと並んで深くお辞儀をしていた。こんなの映画やドラマでしか見ない光景だ。
『澄人様』と言葉を発したのに、まるで私が特別扱いを受けているように感じてしまう。
中も豪華な家具やインテリアで、まるでお城のようだ。やっぱりここは映画の中なのかもしれない。
「先にご飯にしようか」
そう言われ、長っぴろいテーブルへと着くと、時間を開けずに美味しそうな料理が数点運ばれてきた。