クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。
◆第四章



 澄人さんから「ゆっくり浸かっておいで」と言われ、ありがたく温泉に入らせてもらうことにする。


「松崎と申します。穂香様、ここにお着換え用のバスローブと肌着などを一式置いておりますので、こちらにお着換えください。着てこられている物はこちらで洗濯、乾燥させていただきますね」

「ありがとうございます。あと、私はただの一般人ですので、お気になさらないでください」


 私にまで気遣ってくれる若くて綺麗な女性の使用人さんに頭をペコッと下げると「とんでもないです!」と否定された。


「いずれ澄人様とご結婚されるかもしれないお方なのですから、こうして一目お会いできただけでもとても嬉しいです」

「結婚だなんて、そんな……」

「澄人様から聞いております。あなた様はお命を助けて下さった方だと。それに、澄人様とご結婚だなんて、世の女性の方々は喉から手が出るほど羨ましいと思います。誇ってください」


 「では失礼します」と、私にまた一礼をし、松崎さんは脱衣所を後にした。

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