クセのある御曹司を助けたら「運命だ」とか言われました。



 髪を結び温泉へ浸かる。
 今までの疲れが一気に吹っ飛んだ。とても気持ちいい。


 澄人さんといると、私の全てが塗り替えられる。こんなに幸せな気持ちでいいのかと勘違いしてしまう。澄人さんと出掛けてまだ数時間なのに、私の気持ちは澄人さんにだいぶ偏っている。 


 澄人さんの気持ちが変わってしまったら傷つくのは私なのに……


 今後のことに答えが出せずにいる私の前に、

「穂香、お湯加減どう?」

 お風呂の向こう側の脱衣所から澄人さん声が聞こえてきた。


「ーーはい! 凄く気持ちいいです!」

「よかった。俺も一緒に入っていい?」

「はい! どうぞ!」


 ……ん?

 自分が何を言ってしまったのか、答えてすぐ我に返った。


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