BitterなフリしてほんとはSweet【完】
「だからしばらくは残業させるわけにいかないし。田中の残した仕事は俺がカバーしてる。」
「…だからってこれ全部、瀧課長が持ち帰ってしてるんですか?」
ちらっとクリアファイルの中を覗くと、他にも資料がたくさん。
こんなにたくさん…。
きっと、冊子以外にも、データで送られて来たものだってたくさんあるはず。
「ああ、そうだ。」
こんな時間まで残業して、家に帰っても仕事してたら寝れないじゃん。
その艶々のお肌はどうやってキープされてるんだか。
瀧課長の表情は月明かりに照らされて、微かにしか見えない。
「倒れちゃいますよ。」
「そんなに柔じゃないよ。」
低く鼓膜を響す声
この人はきっと、私たちが見てる以上の何倍もの努力をしてる人なんだ。
改めて、尊敬するなぁ。