BitterなフリしてほんとはSweet【完】


「だからしばらくは残業させるわけにいかないし。田中の残した仕事は俺がカバーしてる。」



「…だからってこれ全部、瀧課長が持ち帰ってしてるんですか?」



ちらっとクリアファイルの中を覗くと、他にも資料がたくさん。


こんなにたくさん…。



きっと、冊子以外にも、データで送られて来たものだってたくさんあるはず。




「ああ、そうだ。」



こんな時間まで残業して、家に帰っても仕事してたら寝れないじゃん。



その艶々のお肌はどうやってキープされてるんだか。



瀧課長の表情は月明かりに照らされて、微かにしか見えない。



「倒れちゃいますよ。」



「そんなに柔じゃないよ。」



低く鼓膜を響す声


この人はきっと、私たちが見てる以上の何倍もの努力をしてる人なんだ。




改めて、尊敬するなぁ。


< 13 / 56 >

この作品をシェア

pagetop