双子アイドルは俺様暴走族!
そこにはスタッフ用の長椅子が用意されていた。
「本番が始まったら座る暇なんてないから、今のうちに休憩して頭の中生理しててね」
「……はい」

そう言われてみれば頭の中は爆発寸前だ。
つい最近習ったはずの公式は全部抜け落ちてしまった。

「ふぅ」
と、ため息をついていると北見君がやってきた。
「やぁ、なんとかやれそう?」

北見君はそう聞きながら当たり前のように隣に座る。
やめてください。
疲労困憊の時にイケメンとこの距離感は非常にまずい。
鼻血を止められる自信がない。

あたしは北見君から少し離れて座り直した。
「あぁ~……まぁ、想像よりは大変かなぁって感じかな?」
こんなときに嘘をつく必要はないのに、あたしはそう言って笑った。

【ツインズ】の付き人が役立たずだと思われるのは、なんとなく癪だったから、
「初めての仕事で緊張するでしょ」
「うん。でも緊張する今もないみたい」
あたしはそう答えると北見君があたしの肩をポンポンと叩いて来た、
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