双子アイドルは俺様暴走族!
「足が折れると踊れなくなるぞ? 降参するか?」
「いや……晴が黒猫の顔出すなら、俺もそうさせてもらう」

圭はそう言い、踏みつけている俺の脚を両手でつかんだ。
あっと思った時にはすでに遅く、俺の体は仰向けに床に打ちつけられていた。
圭が俺の足を持ち上げ、体のバランスを崩したのだ。

圭はそのまま俺の上に馬乗りになる。
まずいな。
そう思った瞬間、圭の拳が飛んできた。

俺は首を左右にふってそれをかわし、隙をついて右手を突き出すと圭の首を掴んだ。
「グッ」
と、低い声をあげて動きと止める圭。

呼吸が完全に止まってしまわない程度にギリギリと力を込める。
「どうする圭。道を開けるか?」
圭の顔は見る見る内に血管が浮き出し、赤く染まる。
それでも圭は首を縦に振らず、俺の右手を引きはがそうともがいている。

ったく、しかたねぇな……。
俺は圭の首から手をはなした。
途端に圭は激しくせき込み、俺の右側へと転がった。
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