双子アイドルは俺様暴走族！
なのにどうして涙が出るんだろう？
晴の手の暖かさにホッとしているのは、どうしてだろう？
考えれば考えるほど、涙はあふれ出す。

あたしはなりふり構わず晴の胸に自分の顔をうずめていた。
「ハジメが……ハジメが……！」
子供のようにしゃくりあげながらあたしはそう言った。
一体何がいいたいのか、自分でだって理解していない。

だけど、聞いてほしかった。
「終わっちゃったよ……！　好きだったのに！　信じていたのに……ハジメとあたし……終わっちゃったよぉぉ！！」

ずっとあたしの頭を撫でていた晴の手が、あたしの背中にまわった。
そのままグッと引き寄せられる。
「これはもう……ゲームじゃねぇな……」

晴がボソッと呟く。
「え？」
涙で歪んだ視界で晴を見上げる。

その瞬間、晴の唇があたしの唇に押し当てられた。
暖かくて柔らかな感覚。
ハジメじゃなくて、別の男の人の唇……。

あたしの涙は一瞬にしてひっこんでしまった。
ドクドクと高鳴る心臓。
なに……これ……。

状況が把握できず、ジッと晴を見つめる。
すると晴はスッとあたしの耳元に唇を寄せてきた。

「お前、俺の女になれよ」
晴の甘い言葉が、あたしの頭の中で何度も何度もこだましていた。

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