語彙力ゼロなアドレナリン女子は、ダウナーなイケボ男子をおとしたい
 手の平で肩口を押されたので、瞬時に押し返した。
 けれど、次の瞬間に両肩を押さえつけられて、ベッドに倒される。

 嘘!と思う。
 翡翠にそんな力があるとは思えない。

「たしかに素人なら、簡単にはいかねぇんだろうけど」
 体重をかけてこられて、がっちりホールドされる。びくともしないことに驚いた。

「体力落ちてるとは言っても。曲がりなりにも、オレも経験者なんで。やろうと思えば余裕」
 と言って不敵に笑う表情は、今まで見たことがない。

「ジム通ってたの?」
 質問で気を逸らして、足を蹴りあげる。けれど、蹴りあげた足を掴まれて、足を折り曲げたままの状態で固定された。

「そう。ところで、朱那体勢ヤバいよ」
 しれッとした顔で翡翠は言う。マムが見たら、はしたないという体勢なのは分かっていた。

 これは、そういう流れなのか?男女のなんちゃら?
 でも、翡翠はそんなアドレナリン系男子ではなかったと思う。
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