語彙力ゼロなアドレナリン女子は、ダウナーなイケボ男子をおとしたい

空回りコミュニケーション

 友達ですらないかもしれない。
 そう思いながら、ホテルにチェックインして同じ部屋に閉ざされると、急に翡翠に申し訳ない気持ちになった。

 ジャケットをハンガーにかける翡翠を見ていたら、好きでもないストーカーと同じ部屋で眠るのって、とっても怖くないか?と今さらながら思ったのだ。

「翡翠、今から一室借りてくるよ」
 と私が言ったら、驚きの顔をされる。
「なんで?」

「だって翡翠、イヤじゃない?何にもしないって思ってる相手でも、私みたいなのと一緒だと身の危険感じない?」
「お前がどの立場で言ってんだか、分かんね」
「襲われる心配とか」

「身の危険を感じるべきは、朱那なんじゃねぇの」
「私?私強いし、翡翠相手じゃ。別に、負ける気しないし」
「なるほど」

 翡翠が素っ気なく言ったので、またガッカリさせるようなことを言ったのか、と思った。なぜか翡翠が私の座っているベッドに近づいてくる。
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