語彙力ゼロなアドレナリン女子は、ダウナーなイケボ男子をおとしたい
 ちなみに、実家にいた頃にかなり厳しい監視の中で暮らしていたせいで、ここではかなり羽目を外している。
 ここに来てから親しくなった人達がご厚意で車を貸してくれるので、車を借りて乗り回すのはもちろん、翡翠の送迎を買って出てもいた。

 本人には迷惑がられるけれど、私なりのアプローチなのだ。

 翡翠には、
「いや、総人口とか人口密度的にこっちの方が目立つから。地元帰ってはっちゃけとけよ」
 と言われるのだけれど、翡翠をゲットする前に帰るわけにはいかないのだ。

「二十歳になったら、結婚させる」
 とマムには言われていた。
 私は生まれたときから結婚相手が決まっている。

 日埜藤馬(ひの とうま)。
 実家の水樹家とは古くから協力関係にあったという家柄の青年だ。
 そして、私が二十歳になるまでのリミットは、あと数か月に迫っている。
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