語彙力ゼロなアドレナリン女子は、ダウナーなイケボ男子をおとしたい
 藤馬とは別に仲が良くはなかったけれど、藤馬の一個下の妹・亜鈴(ありん)とはサークルが一緒だったし、気が合って仲が良かった。

「朱那みたいなのが、藤馬と結婚して満足できる?バトルスピリッツはないよ、藤馬には。もちろん、私は朱那と姉妹になれるなら嬉しいけど」
 と亜鈴は言う。
「多分できないよね」
 と私は答えるのだ。

 見た目とのギャップが激しすぎる、と亜鈴には言われるけれど、私は格闘技が大好きで、両親、主にマムの反対を押し切って自分もボクシングジムに通っている。

 血肉沸き立つそわそわ感が好きで、その情熱をぶつけられる相手を探していた。藤馬は、そんな激しさとは無縁そうだったから、精査の結果で、藤馬との結婚は無理だと思っている。
< 9 / 55 >

この作品をシェア

pagetop