シテくれないわたしの彼氏~モンスターバトル~
 私は彼の腕を自分の身体に巻きつけるようにさせて、「ハグしてくれる?」と言ってみる。

 強引かもしれないけど、そうでもしないときっとしてくれないと思った。彼は恐る恐るといった感じに、私の背中に手をまわしてくれる。

 その後ホッと息を吐くのが分かって、彼自身もどのくらいの行動がどう刺激になるのか、分からないようだ。
「シグナルが発動しなければ、他のこともしてもいいのかな」

 私は聞くと、彼は、
「その他にも問題はあるよ、色々」
 と言うのだった。

「年齢とか?」
 高校生の私と大学生の彼。そんな付き合い世の中には山ほどあるけど、彼は気にしているように思った。
「それは40%。残りも問題があるんだ」
 と彼は言う。

「私に魅力を感じないから、イヤって説も考えちゃうけど」
 私からガツガツアプローチして、何とか付き合った説も有力なので、私からすればその点にはまったく自信はない。

「それは、斬新な発想だね。まったく魅力のない相手と一緒にいないし、家に入れないと思うよ」
 と彼は言った。 
「そっか。家には入れてくれる、勉強は見てくれるレベルには。魅力あるんだね」
 自分の発想で少し落ち込んできてしまったので、少し気のない返事をしてしまう。

「元気ないね」
 と彼に言われてしまった。
「そんなことないよ、私岸井さんと別れるつもりないもん」
 若槻の言ったことが頭にあった。彼は私の顔を見て、それからため息をつく。

「ごめん、村瀬さん。ハッキリとしたものがないからだね」
 と言うのだった。

 けれどそのとき私の頭の中にあったのは、刺激の査定をしてはどうか?ということだった。ギリギリの刺激までなら、シグナル保険に引っかからないですむんじゃないかって。
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