シテくれないわたしの彼氏~モンスターバトル~

あっという間に追いつかれた

 刺激に関して興味があった矢先に、若槻から「デートしませんか?」と連絡がくる。水泳部の若槻は部活終わりに店に来るか、連絡をくれるのがルーティン化しているようだった。

 私はちょうどバイトが早く終わる日だったので、連絡を取って合流する。聞きたいことがあったからだ。

 学校とバイト先の中間点の公園で待ち合わせしたのだけど、出会いがしらに、
「感激なんすけど、村瀬さんと合流とか」
 と言ってくる。
 大げさすぎる。

「ちょっと聞きたいことがあったんだよね」と私は言って、ベンチの隣に座った。
 どう切り出せばいいのか難しい問題だけど、今のところ聞けるのは、若槻くらいだ。

「なんですか?」
 とスポーツカバンをわきによけて、若槻は聞いてくる。
「男の人的な要素で聞きたいんだけど。脳が激しく興奮するとか、刺激を受けるってどんなとき?」
 私が単刀直入に言った言葉に、若槻は私の方を見たまま、数秒静止していた。

「それは、どういう意味で聞いてます?」
「そのまま、文字通りの意味だけど」
「男の人的な要素って言葉、結構キケンで。匂わせっぽい感じするんすけど」

「そうかなぁ。スポーツとか、ライブとかでワーッてのは理解できるけど。それ以外のとこで男の人はどんなとき、脳が興奮するんだろって。興奮って自分比較しかできないから、人の意見も聞きたいんだよね」

 私は指を組んで腕を伸ばし、彼のことを思う。どんな場面で脳に刺激が激しいのかわかれば、避けることも可能だと思った。
< 21 / 57 >

この作品をシェア

pagetop