シテくれないわたしの彼氏~モンスターバトル~

謎の後押し

 翌日のお昼休みにゆうかに話してみると、「どこまでおあずけできるか実験してみれば?」としれっと言われた。
 あんまりな言い草だったけれど、ゆうかは彼氏と別れて不機嫌らしい。

「相手に彼女がいる状態で、SNSにあげるのはフェアじゃないと思うよね」
 彼氏の浮気相手と思しき女性が、匂わせ投稿をしているのに腹をたてているようなのだ。

「そういうのって、別れされる目的?自己顕示欲?」
「どっちもじゃない」
 といいつつ、ゆうかは元カレに連絡をしている。こういうのを何度繰りかえしているんだろう?別れたというのは形の問題で、縁は切れないんだろうな、と思っている。

 私は別れるつもりはまったくないし、あくまでも、彼のことを知りたいから、若槻に声をかけたのだけど。
「りかは、無自覚に匂わせしちゃう系。一番面倒なタイプだから、SNSあんまやってないの正解だよ」
 ゆうかは大好物のイチゴちょこメロンパンをほおばる。

「匂わせてないよ、本命はハッキリしているし」
 私は昨夜の残りの鳥そぼろをつめたそぼろ弁当の、肉と卵をスプーンですくって口に入れた。

「営業くんからすれば、どんな形でも接触できればOKでしょ」
「だっていろいろ問題があるんだもん。シグナル保険って知ってる?」

 そう気軽に話を向けたけれど、まさかゆうかが「もちろん知ってるよ、村瀬琢磨さんっていえば、シグナル保険だもん」と言うとは思わなかった。
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