シテくれないわたしの彼氏~モンスターバトル~

わたしのことを知って欲しい

 半ば強引に彼の家に行く。
 彼は私が急に家に行きたいと言ったことを、少し驚いたみたいだった。でも、拒絶ではなかったので、イヤではなかったのだと思い、ホッとする。

 カフェのような公然の場所じゃ、さすがに私も話せない。

 家に着くと、彼は「何か食べる?」と聞いてくる。

 私は首を振って、彼にハグを求めてみた。首を横に振って、応じてはくれないので自分から腕におさまりに行く。

「村瀬さん。まずは条件の達成をしてからじゃないと」と言うのだ。そう言われるとは思ったので、あまり深入りはしない。

 でも、彼が手札を見てくれた以上、私だけがずっとジョーカーを隠しておくのはフェアじゃないと思った。

「岸井さんが提示してくれた条件の確認をしてもいい?」
 私は身体を離して、彼の顔を真っすぐに見る。彼は頷いた。

「私が他の人と経験をする。そして、岸井さんと別れてみる。その間に気持ちが変わらないかどうかを実験するんだよね?」
「大まかにはそんな感じだね」
 彼はもう一度頷く。

「その、経験だけど。私が誰かに抱かれるイメージで話しているの?」
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