公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

どう見ても(エルーズ視点)

「……そういえば、ケリーはどうしてこんな所にいるの?」
「あ、えっと……」
「あれ? 僕、何か変なことを聞いたかな?」
「……いえ、そういう訳でありません」

 そこで、僕はそもそもケリーがどうしてこんな所にいるかが気になった。
 だが、それに対する彼女の反応は悪い。僕は、何か変なことを聞いてしまったようだ。
 そして、すぐに気がついた。よく考えてみれば、単純な理由がある。それを女の子に聞くのは、あまり良くない気がする。

「ごめんね、女の子にそういうことは聞かない方が良かったよね……」
「え?」
「うん?」

 僕の謝罪に、ケリーは驚いたような表情になった。
 もしかして、僕はまた変なことを言ってしまったのだろうか。
 しかし、今度はそれがどういうことかわからない。一体、僕は何を言ってしまったのだろうか。

「えっと……僕が女の子だって、わかるんですか?」
「え?」
「いえ、こんな格好ですし、男の子だと思うんじゃないかって……」
「こんな格好?」

 ケリーの指摘に、僕は首を傾げることになった。
 彼女を改めて見ても、女の子にしか思えない。確かに格好は男の子みたいかもしれないが、その程度は勘違いする要素ではないだろう。

「女の子にしか見えないよ」
「そ、そうですか……」

 僕の言葉に、ケリーは少し困惑しているような気がした。
 僕は、やはり何かを間違えたのだろうか。
 こういう時、対人経験の無さが露呈してしまう。僕には、何を間違えたのかわからないのだ。
 情けない姿を、ルネリアの友達に見せてしまっただろうか。これは、反省しなければならないかもしれない。

「あ、ケリー、こんな所にいたんだ。あれ? エルーズお兄様?」
「あ、ルネリア……」

 僕がそんなことで悩んでいると、ルネリアがやって来た。恐らく、帰りが遅いケリーのことを心配して、やって来たのだろう。

「ごめんね、ルネリア。僕が、ケリーを引き止めてしまっていたんだ」
「あ、エルーズ様は悪くありません。僕が、色々と余計なことを考えてしまっていただけですから」
「……よくわかりませんけど、やっぱり二人は似ていますね」
「え? そうかな?」

 ルネリアは、僕達を交互に見た後そのように言ってきた。
 それに対して、僕とケリーは顔を見合わせる。改めて彼女の顔を見て見たくなってその方向を向いたのだが、その思考も同じだったらしい。

「ねえ、ルネリア。僕達は何が似ているのかな?」
「そうですね……雰囲気でしょうか?」
「雰囲気?」
「はい。二人とも、なんというか……少しミステリアスな感じがします。神秘的とでもいうんでしょうか……あまり言葉にできないんですけど、そんな感じです」
「そうなんだ……」

 ルネリアの言葉に、僕は少し考える。
 確かに、僕はルネリアにこの体のことを秘密にしていた訳だし、そういう意味ではミステリアスなのかもしれない。
 ケリーも、どうやら性別を偽っているような感じがあるので、それには当てはまるのかもしれない。
 そう考えると、ルネリアの言っていることは的を射ているような気がした。僕達は、そういう所が似ているようだ。
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