公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

説明するには

「えっと……それで、オルティナのことで相談があるのよね? それは、どういう内容なのかしら?」
「あ、その……なんと言ったらいいか、自分でもよくわからないことなんですけど……」
「そうなの? まあ、順を追って説明してみて」
「は、はい……」

 イルフェアお姉様の言葉に、私は少し考える。順を追って説明するということは、最初から伝えていかなければならないということだ。
 私がオルティナお姉様に抱いているこの思いの始まりは、どこからだろうか。やはり、私に彼女が手を差し伸べてくれたことからだろうか。

「その……ここに来たばかりの時、私は落ち込んでいましたよね?」
「……ええ」
「そんな時、オルティナお姉様は手を差し伸べてくれました。そのおかげもあって、私は立ち直ることができました。もちろん、イルフェアお姉様や他の皆が優しくしてくれたというのもありますけど……」
「確かに、最初にあなたに手を伸ばしたのは、あの子だったわね」

 とりあえず、私は最初にオルティナお姉様から手を差し伸べてもらったことから話すことにした。
 それは、あまり明るい話ではない。だが、恐らく必要な話なので、話しておくべきだろう。

「それからしばらくして、私はオルティナお姉様から言われました。ずっと妹が欲しかったと……」
「ああ、確かにあの子はずっとそう言っていたわね……」
「その時はなんとも思っていなかったんですけど……その言葉が、ずっと引っかかっていて……」
「引っかかる? どうして?」

 私の言葉に、イルフェアお姉様は首を傾げていた。
 それは当然だろう。オルティナお姉様の言葉は、普通に考えれば、別に引っかかる所などないからだ。
 だが、私は引っかかってしまった。それから、ずっと余計なことを考えるようになってしまったのである。

「オルティナお姉様は、私のことを大好きだと言ってくれます。でも、それはもしかしたら、妹のことが大好きということなのかな、と思うんです」
「妹のことが大好き……個人ではなく、妹として見ているということかしら?」
「はい……」
「なるほど、話は大体わかったわ」

 私の言葉に、イルフェアお姉様はゆっくりと頷いてくれた。どうやら、事情を理解してくれたようである。
 やはり、イルフェアお姉様は聡明な方だ。私のこんなにたどたどしい説明で理解するなんて、流石である。
 彼女は、何かを考えるような仕草をしている。恐らく、私の問題への答えを考えているのだろう。
 とりあえず、私はそれを待つことにする。イルフェアお姉様は、どのような答えを出してくれるのだろうか。
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