金髪くんの一途な愛
電話を切り、すぐに店に向かう。
今は、とにかく頭を真っ白にしたくて、
そんなに急がなくても間に合うのに、駅まで全力で走った。
*
店の近くまできて時計を確認する。
まだ少し早かったけど、開店準備を手伝えって言われたから早くてもいいかと、お店に入ろうとした。
裏口の方にまわろうとした時
お店の前を通り過ぎていった人が、なにか栞のようなものを落とした。
が、その人は落としたことに気付いてなくて。
「あの、
落としましたよ」
その男性を追いかけると
男性が振り返り、びっくりした顔で俺の顔を見た。
「……あの?」
「き、金髪…」
「あー…すいません」
見た目のせいで、絡まれたくなかったのか。
…心配しなくても、落とし物渡したら絡みませんよ。
「あ、いや!見た目に文句があるわけじゃなくてね!?
ちょっと衝撃だっただけさ。
……あ!落としたの拾ってくれたんだね、ありがとう」
……俺、日菜のこと考えすぎなのかな。
ニコッと笑ったその男性の笑顔が、さっき去り際に笑った日菜の顔と、似ている……ような気がした。