金髪くんの一途な愛
「……じゃあ」
男性に会釈して、店に入ろうとすると
「あ、ちょっと待って!」
呼び止められて、裏口のドアノブにかけた手を引っ込めた。
「このお店の人?
開店時間って何時かな?」
「あー…18時っすね」
「18時…まだ1時間くらいあるね」
「飲み屋探してるんですか?」
「あぁ…そんな気分でね。
しばらくブラついてからまた来るよ」
会釈して去ろうとする男性を
「あの」
今度は俺が呼び止めた。
「お酒の提供は開店時間までできませんけど、
店ん中で休憩しててもいいですよ。
まぁ、どっか行く用事があるならいいですけど」
せっかくの客だし。
飲み屋探してるだけなら、もう少し歩いたとこにある居酒屋はもう開店してるはず。
客取られるくらいなら店に居てもらったほうがマスターも喜ぶだろ。