君の隣で歌いたい。


「リンカ」

 頭に手を置かれて私ははっと伏せていた顔を上げた。

 今は沢里の家から駅に向かう途中だった。

 わざわざ駅まで送ってくれている沢里の隣で完全に思考に溺れていたことに反省する。

「ごめん」

「いや、親父が急にすまん。多分あれ、意地悪で言ってるんじゃなくてな。リンカならできると思って言ってるんだ」

「うん分かってる。今日、息もれは必ず治せるって思ったの。それを間延びさせないために、サワソニまでに治せって意味だっていうのも分かる。これがめったにない機会だってことも。でも……」

「顔出しか」

 沢里は私の不安を的確に言い当てる。私はこくりと頷いた。

「私が【linK】だってことを中学時代の部活仲間に知られたくない」

 そう思ってずっと顔出しはしなかった。

 再生数ランキングに入っても、ファンに望まれても絶対に手元しか映さずにいた。

 私は恨まれている。

 特に最後の全国大会を台無しにした同期たちは、私を許しはしないだろう。

 その悪意が【linK】という不可侵領域にまで及ぶのが怖かった。

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