君の隣で歌いたい。


 私は沢里の話に相槌を打ちながら、歩幅を合わせてくれるその横顔を見つめる。

 茜日が目に染みた。

 沢里はふと歩みを止め、私に向き直る。私も沢里をじっと見たまま続く言葉を待つ。

「だからリンカが中学時代のやつらを気にする気持ちもわかる。表舞台に立ってまた負の感情をぶつけられるのが怖いんだ。でもな、俺はそいつらにこそリンカの歌を聴かせてやりたい。リンカはそいつらに潰されてなんかない、どうしようもなく歌を愛して歌に愛されてるんだって、思い知らせてやりたい!」

「沢里……!」

 夕日を背負う沢里がどんな表情をしているのか、逆光で見えない。

 けれどその言葉はストレートに私の胸を打った。

 沢里の方が私よりも私のことを考えてくれる。

 いつだって沢里が明るい方へと導いてくれるのだ。

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