君の隣で歌いたい。
「ちょ、うるさいって!」
「だってリンカの兄貴はたしかトオルって人じゃ」
「あれ、言わなかったっけ? 透流さんは今のおとうさんの連れ子で、柾輝くんは血が繋がってる実の兄だよ」
沢里には家のことや過去のことをなんでも話していたつもりだったが、その分なにを話していないか自分でも分からなくなっている。
その驚きようを見る限り、私は柾輝くんとの血縁関係を話していなかったようだ。
沢里は数拍黙り込んだ後、へなへなと膝を折ってしまった。
「な、な、なんだよもー!! あーー! 俺すげー恥ずかしいじゃん!」
赤い顔を腕で覆う沢里。
やはり【linK】のコーラスの件で柾輝くんと張り合っていたのだろう。
本番前の唐突な支える宣言もきっとそのせいだ。
実の兄だと知って少しは分かってくれただろうか、張り合う必要がないことに。
「大丈夫、私の相棒は沢里だけだよ」
「~~っ! まあ今はそれでいいけど!」
私の本心から出た言葉はとりあえず受け取ってもらえたようなので、ステージ上で続く受賞の様子を引き続き眺める。