夫婦ごっこ
「……本当?」
「本当だよ」
「本当に私のこと好き?」
「好きだよ。今は奈央さんだけが好き。趣味を全力で楽しむところとか、泣くほどつらいことがあっても前を向いて頑張ってるところとか、僕にかわいく甘えてくれるところとか、僕を労わってくれる優しいところとか、そういう奈央さんの素敵なところにどんどん惹かれていった。気づけば僕の心は奈央さんへの想いでいっぱいになってたんだよ。告白してくれた日から今日まで奈央さん何も感じなかった? 返事はしてなくても、僕は奈央さんのこと好きだって思って接してたよ?」

 感じていた。ちゃんと感じていた。まるで両想いだと思っていた。理解できなくてただの愛玩対象ではないかと考えてしまったが、もっとシンプルに受け取ればよかったのかもしれない。

「感じた……でも、違う意味の好きなのかもって」
「奈央さんと同じ好きだよ」

 もう奈央の胸の中は期待で満ち満ちている。それなのにそこに飛び込むあと少しの勇気が出なくて、奈央は自分の想いを自覚したときと同じことを義昭に問うてしまった。
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