夫婦ごっこ
義昭の瞳が奈央に強く訴えかけていて、奈央はもうこのまま義昭の胸に飛び込んでしまいたかった。けれど、あともう一歩。どうしてもあと一つ奈央には気掛かりなことがあった。奈央が自分の想いを拗らせたのもそれが原因だ。その真相を確かめないことには前へ進めない。
「……でも、あのとき義昭さんつらそうだった」
「あのとき?」
「一緒にお義姉さんの家に行ったとき……ベビー用品の話になったとき、義昭さんつらそうな顔してた……お義姉さんに私とそういう関係だって見られるのが嫌だったんじゃないの?」
あのときはまだ慶子のことを想っていて、あの表情になっていただけなのかもしれない。でも、もしかしたら奈央とそういう関係に踏み込むことに嫌悪があるのではないかという不安が残っていた。
「……そっか……奈央さんはそれで傷ついたんだね。ごめん。ごめんね。でも、奈央さんとの関係を誤解されるのが嫌だなんて思ってないよ?」
「じゃあ、どうして?」
「はっきり覚えてるわけじゃないけど、あのとき自分に対して不快な気持ちになったことは覚えてる。あのときはね、まだわからなかったんだよ、自分の気持ちが。奈央さんに強く惹かれる一方で、姉さんへの想いもまだ完全には消えてなくて、どっちつかずの自分が嫌になった。姉さんに意識されていないって悲しい気持ちになる一方で、奈央さんとそういう関係になる未来を想像したら嬉しくなった。二心あるみたいで自分のことが不快になったんだよ。その感情が顔にも出ていたのかもしれない」
奈央はその説明を聞いてストンと腑に落ちた。奈央の場合はほとんど心変わりしてから修平に会ったから気にならなかったが、もしも移ろう途中で会っていたなら、義昭のような複雑な想いを抱いていたのかもしれない。それは想像に難くない。もしも義昭の言うことが本当なら、あの表情をしたのも無理ないと思える。
そして、義昭が言ったことはきっと本当のことなんだろう。二心あるだなんて自分で言っていて気持ちいいわけがないのに、はっきりと奈央に告げてくれているのだから、義昭の言葉に偽りはないとわかる。きっと信じていい。奈央の胸の中に残っていた不安がじわじわと期待に変わりはじめた。
「……でも、あのとき義昭さんつらそうだった」
「あのとき?」
「一緒にお義姉さんの家に行ったとき……ベビー用品の話になったとき、義昭さんつらそうな顔してた……お義姉さんに私とそういう関係だって見られるのが嫌だったんじゃないの?」
あのときはまだ慶子のことを想っていて、あの表情になっていただけなのかもしれない。でも、もしかしたら奈央とそういう関係に踏み込むことに嫌悪があるのではないかという不安が残っていた。
「……そっか……奈央さんはそれで傷ついたんだね。ごめん。ごめんね。でも、奈央さんとの関係を誤解されるのが嫌だなんて思ってないよ?」
「じゃあ、どうして?」
「はっきり覚えてるわけじゃないけど、あのとき自分に対して不快な気持ちになったことは覚えてる。あのときはね、まだわからなかったんだよ、自分の気持ちが。奈央さんに強く惹かれる一方で、姉さんへの想いもまだ完全には消えてなくて、どっちつかずの自分が嫌になった。姉さんに意識されていないって悲しい気持ちになる一方で、奈央さんとそういう関係になる未来を想像したら嬉しくなった。二心あるみたいで自分のことが不快になったんだよ。その感情が顔にも出ていたのかもしれない」
奈央はその説明を聞いてストンと腑に落ちた。奈央の場合はほとんど心変わりしてから修平に会ったから気にならなかったが、もしも移ろう途中で会っていたなら、義昭のような複雑な想いを抱いていたのかもしれない。それは想像に難くない。もしも義昭の言うことが本当なら、あの表情をしたのも無理ないと思える。
そして、義昭が言ったことはきっと本当のことなんだろう。二心あるだなんて自分で言っていて気持ちいいわけがないのに、はっきりと奈央に告げてくれているのだから、義昭の言葉に偽りはないとわかる。きっと信じていい。奈央の胸の中に残っていた不安がじわじわと期待に変わりはじめた。