夫婦ごっこ
「奈央さん、表情に滲み出てるよ? 僕が好きだって。僕も同じでしょ?」
「うん……私のこと好きって言ってるみたい」
「みたいじゃない。好きなんだよ」
「私も。私も好き。義昭さんが好き」
「僕もだよ。奈央さんが好きで好きでたまらない。僕の気持ちわかってくれた?」
「うん、わかるよ。わかる。私、義昭さんの気持ち信じる!」

 奈央は今度こそ義昭の想いを受け止め、彼の胸へと飛び込んだ。義昭に腕を回して抱きつけば、義昭もこれでもかというくらい強く奈央を抱きしめてくれる。本当に義昭と結ばれたんだという実感が湧いて、奈央は自然と涙がこぼれだした。

「ありがとう、奈央さん! やっとだ。やっと。ようやく好きな人を手に入れられた。今まで生きてきた中で一番嬉しい。本当にありがとう、奈央さん」
「うん……うん。義昭さん大好き。私も一番嬉しい。ありがとう、義昭さん」
「奈央さん、好きだよ」
「私も大好き」
「その体勢きついでしょ? ここに乗ってごらん?」

 椅子から乗り出して義昭に抱きついていたから、義昭の膝の上に乗るよう促された。それに従い、大人しく義昭の膝の上に座ってみれば、恋人らしいその格好に胸が高鳴る。嬉しくて義昭を見つめて微笑めば、義昭は奈央の涙を優しく拭ってから、奈央の頭をそっと引き寄せ、もう一度優しく口づけてくれた。
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