夫婦ごっこ
「そうだね。結構違うもんね」
「うん。デートしてもいつも私に合わせて修平が付き合ってくれるばっかりで、私が修平のやりたいこと一緒にするって言ったら無理するなって言われる」
「由紀に付き合うのが楽しいんだよ。由紀は素直に甘えてあげな?」
「うん……お姉ちゃんもそうだよね。いっつも私のことばかり優先してくれる」

 由紀を優先しているという自覚はないのだが、小さい頃のひ弱だった由紀の印象が強いからかいつも守ってあげたい気持ちにはなる。由紀にはいつも笑っていてほしくて、ついつい何でもやってあげたくなってしまうのだ。さすがに、修平関連のことは避けたくなるが、それでも大抵の頼みは聞いてしまう。

「特別優先してるつもりはないけど、でも、由紀を喜ばせるのは好きかな。由紀は私の大事な妹だからね」
「私も同じだよ? お姉ちゃんのこと大事だから、たまにはお姉ちゃんに何かしてあげたい」
「そっか。ありがとう、由紀。じゃあ、何かしてほしいことができたらお願いしようかな」
「え!? お姉ちゃんがそんなこと言うなんて珍しい」

 特に意識せずに言った言葉だったのだが、過去を振り返ってみれば、確かに由紀にこんなことを言うのは初めてだ。いつもなら気にしないで甘えてろと言ったはずだ。義昭と頼って頼られての生活を送っているから、自然と誰かに頼る癖がついてしまったのかもしれない。そう考えると義昭の存在が自分に染みついているようで少し嬉しくなった。
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