熱情滾るCEOから一途に執愛されています~大嫌いな御曹司が極上旦那様になりました~
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目の前に座った極端に顔のいい男・風尾成輔。その顔を盗み見て、すぐに視線をそらした。
なんでよりにもよって風尾成輔がここにいるのだろう。

私は五つ年上の彼が苦手だ。子どもの頃からことある度に顔を合わせるが、彼のなれなれしい態度も腹の見えない笑顔も苦手。
ほんのついさっきまで私は、成輔と結婚するのは妹の百合(ゆり)だと思っていた。
風尾家の嫡男と院田家の家元を継ぐ女子が結婚。それが家同士で成された約束だと思っていた。

(お父さんもお母さんも、まだ私に家元を継がせたいのかな。百合の方が適任だって、何年も言い続けてるのに)

私はぐるぐると考えた。成輔と結婚させて、私を院田流の次期家元にと考えていたのか。だから、相手不明のお見合いに連れ出したのか。

「院田先生、葵ちゃんに見合い相手がうちの息子だってことを言わなかったのかい」

成輔の隣でそう言うのは、彼の父で風尾グループのトップである風尾成一社長。
風尾グループは国内有数の大企業で、院田流華道のパトロンでもある。実際、院田流が庇護下にあったのは明治大正期までで、昭和期以降はビジネスパートナーとしての結びつきが強い。

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